今回は不動産売買を自由にするサービス「PropoCloud」、「カウル」を運営されている「株式会社Housmart」の宮永さん(CPO、PdM)、吉澤さん(マーケティング担当)、リニューアルのディレクションを担当された椎名さん(株式会社SUPERPHANTOM)にお話を伺いました!
今回の事例ポイント
- リニューアル後の継続的なアップデートも見据えた技術選定。SEOのベストプラクティスの追従や、PDCA運用による最適な動線づくりなど、継続的な改善ができるように!
- 移行作業や、やりたいことの実現を支えるmicroCMSのカスタマーサクセス
- テクノロジー的な制約の戦いから、お客様への最適な体験の実現、ビジネス的なやりたいことの実現へ
「住を、自由に」不動産売買を自由にするサービスを提供
Q.御社の事業内容を教えてください。
(宮永さん)
不動産業界はIT化の遅れがよく指摘されます。不動産売買ではFaxでやり取りをしていたり、不動産を見学するだけにも多くの手続きが必要であったりなど非効率・不自由な面が多いです。
Housmartでは、そこを自由にしていきたいという想いから以下の2つのサービスを展開しています。
- PropoCloud:不動産仲介会社に向けたSaaS。自動集客と顧客の見える化により、不動産見学を獲得し、売上に貢献する物件提案サービス
- カウル:物件購入・売却検討者に向けた中古マンション検索アプリ。登録情報に基づき、その人に最適な物件を提案し、誰でも中古マンションを賢く売買できる機会を提供
今回microCMSを導入したのはカウルの会員獲得のためのメディア「マンションジャーナル」になります。このサイトでは、
- マンションを買う・売るために知っておきたいノウハウや知識
- マンション選びで参考になるエリアや学区などの詳細情報
など「住まう」をテーマにターゲット層に刺さるようなコンテンツを用意してメディアを運用しています。
https://journal.kawlu.com/
リニューアル後も見据えてのmicroCMS選定
Q.microCMSを導入いただいた理由を教えてください。
(吉澤さん)
元々「マンションジャーナル」はWordPressで構築をしていました。マンションジャーナルをリニューアルすることになった際に、ディレクションをお願いした椎名さんからmicroCMSをご提案いただき導入を決めました。
(椎名さん)
リニューアルの前提として「マンションジャーナル」には、「不動産情報のプロフェッショナルとして、適切なコンテンツを適切なターゲットに届ける」という役割があります。
その役割を果たすためには、まだマンションジャーナルが出会えていない方々に向けて、必要とされている情報をお届けできる基盤となる環境が必要です。
その基盤作りの一環として、検索エンジンからのオーガニックな流入を伸ばしていく方策を考える必要がありました。
オーガニックな流入を適切に伸ばしていくSEOに取り組む上で、私たちがおさえておくべきGoogleのベストプラクティスは常にアップデートされており、それに沿うためにはサイトも継続的なアップデートが必要です。
(宮永さん)
マンションジャーナルは創業以来、最初に立ち上げたメディアです。不動産業界では大手がいる中で、広告だけで戦うのは難しいという背景があります。
となると、オウンドメディアが重要だと考えました。
ただ、SEOなどのベストプラクティスがどんどん変化する中で、以前のWordPressの構成だと追従することが難しくなってしまいました。
WordPressだとテンプレートをいじる際にPHPの知識が必要だったり、見た目とロジックがぐちゃぐちゃになってしまいがちで、修正したい箇所があっても数ヶ月先になってしまうこともありました。
(椎名さん)
今までのマンションジャーナルの技術的構成はかつてのベストプラクティスではありましたが、その後のアップデートがなされていなかったために、現在においては最適な構成ではなくなってしまっていました。
また、宮永さんにお話しいただいた通り、必要な修正を即座に実施できない構成でもあったため、ゼロベースで最適な技術的環境を検討しました。その結果、Jamstack構成でリニューアルを実施する形が選ばれた、という経緯となっています。
Jamstack構成を選んだ理由としては
- 今回採用したNext.jsなど、モダンでハイパフォーマンスな構成にしやすいフレームワークが揃っている
- 今後も改修を続けていく前提で、UIとCMSを分離し、「ユーザー体験の最適化」と「運用改善」の双方を追求したく、その思想と合致する点が多い
などがあります。
またCMSの選定にあたっては、これまでWordPressを使ってきた運用担当者の視点で学習コストが高いCMSを採用してしまうと、運用コストがあがってしまうことを踏まえWordPressをCMSとして残すことも選択肢に残していました。
結果、管理画面が十分に使いやすく、WordPressから移行しても運用上の支障はない、という判断の下、今回のリニューアルの思想に最もフィットしているCMSとして、microCMSを選定しました。
(吉澤さん)
私はHousmartへの入社以降ずっとマンションジャーナルのデザインや世界観も含めて手を入れたいと思っていましたが、なかなか難しく.....「サイトのここを変えたい」とエンジニアに相談すると「そこはパンドラの箱ですよ(笑)」と言われてしまったり(笑)、リサーチから始めなければならず進まないことがよくありました。
メンテナンス性は要件としてマストでしたね。
(椎名さん)
Housmartさんが作っているプロダクトは、「不動産情報」と「テクノロジー」というそれぞれの分野においてプロフェッショナルであるからこそ提供できる価値があり、それがブランドとなっています。
そのブランド体験の一翼を担う「マンションジャーナル」も細かい点で言えば、ユーザーさんがサイトにアクセスした際の表示の速さや、もう少し広く見て言うと、その時々のトレンドに則ったユーザーさんが触れやすいUIなど、ブランドのユーザー接点として適切な状態であり続けることが必要です。
そうした観点で、今回のリニューアルで終わり、というものを作るのではなく、今後も進化し続けていく前提で、UIとCMSは切り離す、に至りました
Q.サイトをリニューアルされて、どのような効果がありましたか?
(椎名さん)
Core Web Vitals、Lighthouseなどの指標は、以前はPC、モバイル共に良好なページが少なかったのですが、リニューアルして大幅に改善されました。それらの指標を見るまでもなく、体感で明らかに表示が速くなりましたね。
また今後の改修がしやすくなったという面でも期待通りの効果がありました。
例えば、サイトで「ユーザーさんにこういう回遊をしてほしい」という狙いを持って設計した動線に対して、実態と仮説のズレが生じている部分を素早く改修できるようになりました。
サイト内の構造に手を付けられないがために、無理矢理トラフィックを作るような小手先技を実行する羽目に陥ることなく、ユーザーさんの行動に関する指標・データを見ながら、サイト自体の動線を最適化するとか、CTA(※編注:Call to Actionの略、Webサイトに訪問したユーザーに具体的な行動を促すこと)をより良くするなどの本質的な改善ができるようになりました。
「カスタマーサクセス」を実現してくれるmicroCMSのサポート
Q.microCMSへの移行作業はスムーズにできましたか?
(椎名さん)
WordPressのDBからmicroCMSに移行する作業は、そこまで大変な箇所はありませんでした。
というのもmicroCMSのユーザーさんによる先行事例があったので、それを参考に移行作業を進めることができました。
実質の開発期間は1ヶ月かかっていないですね。
また、microCMSのサポートの方々がとてもフレンドリーで親切でした。開発上の課題が生じた際に、的確に解決策を提示していただきました。
ココを見てくださいといったサポートコンテンツの提示だけではなく、具体的な解決方法を複数提案していただくシーンが度々あり、とても助かりました。
日頃、ブランド体験の設計と実装支援を担っている立場でもあるので、microCMSの方々が、いわゆるユーザーサポートではなく、本当の意味でのカスタマーサクセスを実現しようとしているんだな、と「エモい」気持ちになりました。
そうした点でも、microCMSは信頼が置けるなあと感じています。
(吉澤さん)
CS担当の方からご説明を受けた時には非エンジニアなので見当違いな質問をしてしまうのではないかという心配がありましたが、そうした立場の者に対してもわかりやすく回答していただきました。
これまでの他社さんでの導入事例や、エンジニアサイドとの連携で疑問に思っていることなどを相談させていただきましたが、いつも解決策が3パターンくらい返ってくるので、非常にありがたかったです。
「制約」との戦いから「お客様への最適な体験」の実現へのシフトチェンジ
Q.その他にmicroCMSに移行したメリットなどはありますか?
(椎名さん)
スキーマの設計がシンプルかつ、柔軟に組める構造になっていたので構築がしやすかったです。
また管理画面のレスポンスが速く素敵だなと思いました。以前の管理画面は、先ほど宮永さんからお話しいただいた背景でメンテナンスを行き届かせることができていなかったため、かなり重く、そこで作業のやる気を無くしてしまうことがありましたね。
(吉澤さん)
かなりやる気を無くしていました(笑)。microCMSでは、読み込みを待つということがないので、ストレスなく運用できています。
(椎名さん)
また今回のリニューアルの肝になる部分なのですが、サイトの施策で「やりたいな」と思ったことが実現できるようになったのが大きいです。
以前は技術・インフラ面の制約とどう戦うかを考えていましたが、リニューアル後はお客さまに対して最適な体験をどう提供するか?というように本来あるべき形へ頭の使い方をシフトできるようになりました。
(吉澤さん)
「こんなこともできる?」という仮説から、解決までのビジネス的な速度が上がり、やれる範囲が広がったと思います。
microCMSへの要望
Q.microCMSへの機能要望などありましたら教えてください。
(吉澤さん)
検索機能を使っていると検索結果に意図しないコンテンツがヒットすることがたまにあるので、コンテンツの検索の精度が向上すると嬉しいです。
(椎名さん)
メディア管理において、メタデータの付与と検索・フィルタリングがあると便利だよねという話はしていました。どういうメディアを格納しているか手元で管理しないといけないので、メディアをカテゴライズする機能があると嬉しいです。
(吉澤さん)
現時点では使っていないメディアも管理画面には上がっていたりするので、そこのセグメントが効くとありがたいです。
継続的なサイトのアップデート、ネイティヴアプリへの導入
Q.今後のmicroCMSの活用計画などを教えてください。
(吉澤さん)
テクニカルな課題が大幅に改善できたので、ようやくスタートに立てたと思っています。これからCTAの改善や導線の改善、現時点で1200本ほどある記事の改善、精査などを早いスパンで回していきたいと思っています。
また、ネイティブアプリであるカウルの中にもmicroCMSを入れる検討をしています。アプリ内のコンテンツをビジネスサイドで運用し、商材とメディアをすべてつなげた広いコンテンツ設計ができるといいなと思っています。
(宮永さん)
2018年くらいにマンションジャーナルの記事をカウルにつなげられないか検討したことがありました。その時はWordPressだと無理だと断念した記憶があります。
microCMSに移行して、夢が広がるなと思いましたね。
株式会社Housmartの皆様ありがとうございました!