「microCMS Partner Talk」は、microCMSのオフィシャルパートナー制度「microCMSパートナープログラム」に認定されたパートナーをお招きし、さまざまなテーマで語り合う企画です。
今回は第4回目のゲストとしてノーコード・ローコード開発を通じたデジタルマーケティング業務の内製化及びDX推進支援を行っている株式会社メンバーズ様から3名をお招きし、「microCMSを用いた金融業界の導入事例」をテーマにパネルディスカッションを行いました。
本記事では、パネルディスカッションの内容をダイジェスト版としてお届けします。
▼パネルディスカッション全編はこちら(視聴無料)▼
本記事はダイジェスト版ですので、途中、内容をいくつか省略しております。
パネルディスカッションの全編をご覧になりたい方は下記のリンクからご視聴ください。
Partner Talk Vol.4|セキュリティ要件の高い企業とmicroCMS:金融企業の事例を元に選ばれる理由を解説
自己紹介・会社紹介
株式会社メンバーズ メンバーズルーツカンパニー
- 武田潤平(カンパニー社長)
- 渡邊賢二(リードエンジニア)
- 岸本彬(フロントエンドエンジニア)
株式会社microCMS
- 下津曲浩(カスタマーエンジニア)
- 中嶋春葵(マーケター)
CMSの機能拡張と保守に課題。サイト全体ではなく、一部ディレクトリ領域のみにmicroCMSを導入(西日本シティ銀行様)
中嶋:金融企業の事例として、2つのケースをご紹介します。
最初に、西日本シティ銀行様の事例についてお話を伺いたいと思います。導入の経緯についてお聞かせいただけますでしょうか?
武田:はい。西日本シティ銀行様に関しては、主に広報を担当する「広報文化部」の方々を支援させていただきました。
もともと、お知らせやニュースリリースの管理には別のCMSが導入されていました。しかし、そのCMSでは機能の拡張が難しく、さらに保守費用が高いという課題がありました。そのため、「より低コストで運用できるCMSに移行できないか」というご相談をいただき、microCMSを導入することになりました。
トップページは従来通りの構成ですが、ニュースリリース以下のディレクトリについては、リバースプロキシを設定し、一部の領域をmicroCMSで運用できるようにしました。当初はPDFのアップロードのみ可能な状態でしたが、その後、銀行側で詳細ページを作成できるように機能を拡張しました。
西日本シティ銀行|元気な九州・福岡をさらに元気に
https://www.ncbank.co.jp/
中嶋:ありがとうございます。ちなみに、導入後に西日本シティ銀行様からどのようなご意見をいただいたか、お伺いしてもよいでしょうか?
武田:既存のCMSを活用されていたこともあり、細かいご相談はほとんどなく、社員の方々も問題なく更新作業を行えていました。UIについても「分かりやすくて使いやすい」と声をいただいて、評価は上々だったという風に感じています。
また、実装後には「別の領域でもmicroCMSを活用したい」というお声がけもいただいたので、良かったと思っています。
中嶋:実際に何名ほどの方がご利用されているのでしょうか?
武田:基本的には兼務だったりもされるんですけれども、3〜4名の方で更新をされています。
下津曲:先ほどのお話の中で、最初はPDFのみアップロードできる状態で、その後詳細ページが閲覧できるようになったとのことですが、それは元々予定されていたものなのでしょうか?
武田:はい。ご提案の際に、PDFのみの掲載ではSEOの観点からあまり望ましくないと考えたため、初期段階から「詳細ページも作成できるようにしましょう」とご提案させていただきました。
下津曲:では、API設計の段階で、後から対応できるように構築されたということですね。
武田:はい。そのように設計しました。
福利厚生サービスサイトをフルリニューアル。現在の運用規模は約1,000ページ超へ(常陽銀行様)
中嶋:続いて、常陽銀行様の事例についてもご説明いただけますでしょうか。
武田:はい。今回は、新規事業開発を担当する営業企画部の方々を支援させていただきました。
常陽銀行様は、法人企業の職場環境を改善するために「ベネサポ」という独自の福利厚生サービスを開発・販売されています。しかし、弊社が支援する前は、クーポンの訴求を目的としたLP(ランディングページ)のみが用意されており、地元企業への訴求力が十分ではないと感じられていました。
そこで、営業担当者や既存の利用顧客にインタビューを実施し、得られた情報を整理しました。その結果をもとにワークショップを開催し、サービスのコンセプトを見直すリニューアルを行いました。また、「クーポンやサービス内容は自社で随時更新していきたい」というご要望があったため、microCMSを導入しました。
地元の飲食店やレジャー施設と連携し、特定のサービスを利用すると割引が適用されるクーポンを多数提供されています。例えば、「地元の飲食店で食事をすると割引になる」「地元のキャンプ場を利用すると割引が受けられる」など、地域の企業と協力して、クーポンを活用したサービスを展開しました。
ベネサポアプリ:JOYO福利厚生サービス「べネサポ」:常陽銀行
(※現在は主にモバイルアプリとして提供中)
https://benesapo.joyobank.co.jp/app
中嶋:ありがとうございます。常陽銀行様からは、導入後にどのような声をいただきましたか?
武田:はい。今回のご担当者様は、CMSを活用された経験がないお客様でした。そのため、引き継ぎの際に「こんなに簡単にページが作れるんですね」と、とても喜んでいただけたのが印象的でした。
また、公開後も質問はほとんどなく、行員の皆様だけで問題なく運用できる状態になった点も非常に良かったと感じています。
公開当初は数十ページ程度のサイトでしたが、その後、銀行側でサービスやクーポンを追加していただき、現在では約1,000ページ以上の規模にまで成長しています。
さらに、当初はWebサイトとして提供していましたが、年々機能を拡張し、現在ではYappliのアプリサービスと連携しています。Webビューを活用し、ネイティブアプリでも閲覧できる仕組みに進化しました。
引き継ぎ時は対面でのレクチャー会を実施
中嶋:先ほどの西日本シティ銀行様では既にCMSを活用されていましたが、常陽銀行様の場合は初めての導入にもかかわらず、スムーズにページを作成できたという点があったと思います。
こちらについては、メンバーズ様が直接レクチャーを行う機会があるのでしょうか?
武田:そうですね。弊社では、CMSを実装する際に必ず対面でのレクチャー会を実施しております。レクチャー会とは、CMSが完成したタイミングで実際にお客様を訪問し、直接操作方法を説明する場です。
一般的に、CMSのレクチャーではマニュアルを作成してお渡しするイメージがあるかもしれませんが、弊社ではマニュアルの説明だけではなく、動画や文章を用意し、お客様に「一緒に作成してみましょう」と促しながら、実際に手を動かして習得していただきます。
CMSを操作してみると、例えば「画像アップロードのボタンが分からない」といった細かい疑問がその場で出てくることがあります。そこで、実際に操作しながら解決することで、事前に不明点を解消し、スムーズに運用できるようにしています。
レクチャー会では「この機能はこうしたほうが使いやすいのでは?」といった改善点も見つかるため、サイト公開までに微調整ができる点もメリットです。
レクチャーの様子は動画に記録し、最終的にお客様へ納品いたします。特に、金融業界のお客様ではジョブローテーションにより担当者が変わる可能性があるため、この動画が引き継ぎの際にも役立つようにと、実施しております。
中嶋:なるほど。弊社でもドキュメントやヘルプページはいくつか用意していますが、実際の操作動画などのコンテンツはあまり多くありませんので、そうした中で、メンバーズ様にフォローアップしていただいている点は、弊社としても非常にありがたいと感じました。
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金融企業でmicroCMSが導入される理由とは?
中嶋:続いて、金融企業におけるmicroCMSの導入が進む背景についてお話ししたいと思います。
そもそも金融企業におけるコンテンツ運用の課題は、全体としてどのようなものがあるのでしょうか?
武田:はい、ありがとうございます。金融企業におけるコンテンツ運用の課題として、大きく3つのポイントがあると考えています。
1つ目は、ご担当者様が他の業務と兼務していることが多く、本業が別にあるため、ウェブのリテラシーがそこまで高くない方がいらっしゃることです。
2つ目は、ジョブローテーションの影響で担当者が定期的に変わる可能性があるため、知見が溜まりにくいという点です。
3つ目は、金融業界特有の事情なのですが、ミスに厳格であるため、公開までに時間がかかることです。特に、承認フローが複雑で、慎重なチェックが求められるため、他業種と比べても運用負担が大きくなる傾向があります。
このため、microCMSがお客様に喜ばれる部分としては、モダンなUIでウェブの操作に不慣れな方でも使いやすく、スムーズに更新ができること。
また、承認フローを細かく設定できるため、金融企業の厳格なルールにも対応しやすいこと。そして、1番喜んでいただけるのは、高いセキュリティ品質を保てることです。
CMSを導入して内製化したいが、セキュリティポリシーの関係で導入が難しい企業も多いので、microCMSはセキュリティを担保しつつ、比較的低コストで運用を開始できることがすごく良いポイントだと考えています。
誤操作を防ぐため、権限管理機能で部署ごとに権限をコントロール
中嶋:ありがとうございます。セキュリティ面の対策として、microCMSの権限管理機能を細かく設定して運用されていたりするのでしょうか?
武田:そうですね。部署ごとに更新する領域が異なるケースが多いため、例えば「お知らせ領域はこの部署」「ニュースリリースは別の部署」といった形で権限を分け、誤操作が発生しないように適切に権限を分けて設定することで、安全に運用できるため喜んでいただけます。
中嶋:この点については、良くも悪くもあると思っているのですが、弊社の権限管理機能のはかなり細かく設定できる反面「ぱっと見どの項目をオンにし、どの項目をオフにすればよいのかわからない」という部分もあると思います。
そこは弊社としても、テンプレートのような形で標準的な設定を用意し、それをベースにカスタマイズできる仕組みが提供できないか模索しています。
武田:私としては、細かく設定できる点がすごくいいなと思っています。
例えば、「更新者でも削除ができるようにしたい」「更新はできるが削除は許可しない」といったポリシーは企業ごとに異なります。そのため、柔軟に権限を設定できることで、企業のルールに合わせた運用が可能になります。細かく制御できる点は非常にありがたく、大きな魅力だと感じています。
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セキュリティ要件の厳しい金融企業のシステム設計における3つのポイント
中嶋:先ほどのお話の中で「アーキテクチャ図を提案時に準備して持参する」という点について言及があったかと思います。この点に関して、特に、金融業界向けのシステム設計において留意しているポイントがあればお聞きできればと思います。
渡邊:はい。金融業界向けのシステム設計では、主に以下の3つのポイントを意識しています。
まず1つ目が、金融機関では、利用できるクラウドサービスが制限されているケースが多く、例えば「AWSのみ利用可能」といった条件が設けられていることがよくあります。
そのため、可能な限りAWSのサービスに閉じた設計を心がけています。もちろん、microCMSのように外部のクラウドサービスを使用する必要がある場合もありますが、それ以外の部分は極力AWS内で完結させるようにしています。
次に、新規導入だけでなく、すでに導入されているシステムが活用できるかどうかも検討します。
これは金融業界に限ったことではありませんが、例えばリバースプロキシの設定に関して、ウェブサーバー側に設定する方法もありますが、CDN(コンテンツデリバリーネットワーク)側でも設定が可能な場合があります。既存のCDNで対応できる場合は、そちらを活用することで効率的な運用が可能になります。逆に、現在のシステムに課題がある場合は、リプレイスの提案も行います。
最後に、AWSを中心としたクラウドサービスの活用においては、なるべくサーバーレスやマネージドサービスを利用するようにしています。マネージドサービスを活用することで、OSのアップデートやミドルウェアの更新といったメンテナンス作業を削減でき、運用コストを大幅に抑えることができます。そのため、可能な限りシンプルな構成にし、管理負担を最小限に抑えることを重視しています。
以上の3点を特に意識してシステム設計を行っています。
中嶋:ありがとうございます。共通して金融企業ではセキュリティ要件が厳しいため、設計が複雑にならないよう、できるだけシンプルに構成しつつ、運用コストを抑える形で提案されている、というイメージですね。
下津曲:先ほどおっしゃっていたように、セキュリティチェックを通す必要もあるため、使用するSaaSの数をできるだけ絞ることは、コスト削減の面でも効果的ですね。
中嶋:確かにそうですね。ありがとうございます。
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おわりに
今回は、メンバーズ様とのパネルディスカッションをダイジェスト版としてお届けしました。
取り上げた内容はあくまで一部で、当日はその他、以下のようなトピックについてもお話いただいています。
- セキュリティ要件の厳しい金融企業にmicroCMSを提案する際の4つのステップ
- 対面でのレクチャー会でサイトがビルドできないトラブルに。問題の原因と対処法について
- お知らせ表示で必要なPDFサイズ表示の独自開発とビルド時間短縮の工夫について
- 導入支援をした経験から、microCMSをどのような企業におすすめしたいか
上記のトークについてもご覧になりたい方は、ぜひ下記のアーカイブ動画をチェックしてみてください。
Partner Talk Vol.4|セキュリティ要件の高い企業とmicroCMS:金融企業の事例を元に選ばれる理由を解説
また、実際の導入でお困りのお客さまは、ぜひmicroCMSのパートナー企業であるメンバーズ様にご相談ください。
https://microcms.io/partners/members